マサチューセッツ工科大学(MIT)の開発している人工知能システム(AI)が、このたび幼児向けのIQテストを受けました。
Intelligent Machines: AI had IQ of four-year-old child
http://www.bbc.com/news/technology-34464879
MITの発表によると、結果はほぼ4歳児と同等の知能を備えているというものでした。機械は特定の作業、たとえばチェスをしたり絵画を認識したりといったことでは、ますます高性能になっています。ですが一般的な知能というのは、依然として機械にとって理解しがたいものです。
MITのマシン(ConceptNet4と呼ばれています)はイリノイ大学の心理学者Stellan Ohlsson教授の下で性能を試験されました。ConceptNet4の受けたIQテストは、アメリカの学校で広く用いられているものです。幼児向けに作られており、5つの分野の知能を測定します。
・情報 – 「ペンギンはどこで見る事が出来ますか?」といった質問です。幼児語でないのはご勘弁を。
・語彙 – たとえば「家とは何ですか?」。
・単語の類推 – たとえば「それを通して何かを見ます」「四角形です」「開けられます」といった3つのヒントからそれが何かを当てます。
・類似性 – 「ペンと鉛筆はどちらも・・・?」
・理解力 – 「なぜ握手をするのですか?」
もちろん、問題はコンピューター用に改変して、プログラムも新しく組まないといけません。その結果、語彙と類似性ではスコアが高く、情報は平均的、単語の類推と理解力は低いという結果がでました。研究者らは今回のConceptNet4の結果を、4歳児の平均ではあるが、5~7歳児の平均には劣ると判断しました。
そしてコンピューターがどのように質問を理解したかが大きな要素であるとわかりました。たとえば、「なぜ握手をするのですか?」という質問に対し、「てんかんの発作です。」と答えました。元の問題文は英語なので「Why do we shake hands?」となっているのですが、この「shake hands」を「握手する」ではなく「手を震わせる」と解釈したのです。
問題文を「shake hand」と短くしたところ、コンピューターは「感謝」「友達に会う」など、より適切な答えを出しました。時に全く理論的ではない答えを出すこともありました。「先生はどこにいますか?」という質問に対し、「ピアノ」「ひも」といった答えを返しました。研究者にもなぜこのような答えが返ってきたのか、わからないのですが、改善の方法はわかります。たとえば、SiriやCortanaのような仮想アシスタントを経由して自然言語で問題文を入力するのです。
AI研究の歴史は、1950年代にさかのぼります。初期には、コンピューターは知識基盤を与えられて、理論と推論の面で問題を解きました。ここ数十年で、コンピューターの教育方法は進歩し、新しい機械学習の時代に突入しました。いまやAIは膨大な量のデータを与えられ、そこから学習するのです。研究者によると、どちらの方法も将来的に有用ではなくなるだろうとのことです。
「一般的に言って、AI分野における成功例はほとんど学習主導型のもので、知識主導型AIの時代は既に過去のものになっているのです。おそらく、AIの次の段階では、2つのパラダイムを組み合わせた知識基盤が重要な役目を担うことになるでしょう。」