抗生物質の最後の砦に耐性をもつ最悪の耐性遺伝子が発見される

中国の研究チームが、多くのサンプルから抗生物質に耐性を示す危険な遺伝子が発見されたとして警告を出しています。この遺伝子は MCR-1 という名で呼ばれており、この遺伝子を獲得した微生物は「コリスチン」という強力な抗生物質に耐性を持つようになります

Bacteria resistant to ‘last-resort antibiotic’ found in China

http://www.geek.com/science/bacteria-resistant-to-last-resort-antibiotic-found-in-china-1639919/

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抗生物質「コリスチン」とは

コリスチンは1950年代に日本人が発見・発売した抗生物質で、腎臓への副作用が強いとして一度使われなくなったものの、他の抗生物質の効かない、いわゆる「多剤耐性菌」に効果のある「最終兵器」として2015年3月に日本で改めて承認された薬です。

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多くのサンプルから耐性遺伝子を発見

医療系の学術雑誌『the Lancet Infectious Diseases』によると、家畜の5分の1、生肉サンプルの15%、そして16人の患者全てからこの遺伝子を持ったバクテリアが検出されたといいます。

研究者によると、この遺伝子の「運び屋」になったのは大腸菌とのことです。大腸菌は肺炎桿菌や緑膿菌などと同様、遺伝子を他の菌体に伝えることができるのですが、これにはある秘密があります。実はコリスチン耐性遺伝子を持った菌が現れたのは今回が初めてではありません。それが今回に限って騒がれているのは、その遺伝子が「プラスミド」に入っているという点です。

遺伝子の運び屋「プラスミド」とは

プラスミドは菌の中に存在する環状の DNA で、菌自体の DNA とは別個に存在します。ですので、菌は自分の DNA は維持したまま、プラスミドだけを他の菌に送ったり、逆に受け取ったりすることができるのです。いわばプラスミドは菌同士をつなぐ飛脚、あるいは宅配業者とも言えるでしょう。そんな業者の手に耐性遺伝子 MCR-1 が渡ってしまったことで、爆発的に広まり他の耐性遺伝子とも合流して「超」多剤耐性菌が生まれてしまったのです。

我々にできる対策は

人間、とりわけ先進国の住人は「抗生物質」という、感染症に対する兵器の存在するのが当たり前の世界に住んでいます。もしも抗生物質がこの世から消えてしまったら、ありふれた感染症で人が死ぬようになり、ありふれた手術は命に関わるようになり、がん治療もより困難になります。微生物が耐性を獲得していないかの検査は定期的に行われています。コリスチン耐性菌に効果のある薬の有力な候補はいくつかありますが、しかし現状では特効薬はありません。新薬の開発が急がれると同時に、規則正しい生活やバランスのとれた食事など、病気に負けない生活習慣をつくることがより一層大切になってきています。

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