世界最速時速1609kmを目指す超音速自動車「ブラッド・ハウンド」

「世界で一番パワフルな車」9月末にロンドンで初お目見えになりました。その車の名は「Bloodhound SSC」(SSCはSupersonic Car、超音速車)。全長13.5mと大型の車で、目標は世界最速、前人未到の時速1609kmです。

BLOODHOUND CHASES WORLD LAND SPEED RECORD AT 1000MPH

http://www.realtechdrives.com/news/bloodhound-chases-world-land-speed-record-at-1000mph/

main

Bloodhound SSCは開発に8年をかけてきました。チームリーダーのRichard Noble氏は以前に「Thrust SSC」プロジェクトを立案し、1997年に現在の世界記録時速1227kmを達成した実績を持ちます。

Bloodhoundチームは今回の目標の達成までに、2段階を経る予定です。まず、9月15日に南アフリカで時速1287kmを記録する予定です。そして時速1609kmへの挑戦は、2017年に行います。ドライバーは約20年前と同じ、イギリス空軍所属のAndy Green中佐です。

Bloodhoundには宇宙航空技術も応用されていますので、ぴったりの人選と言えるでしょう。構造に目を向けると、まず先端から真ん中までF1カーのようなモノコック構造(一体型構造)になっています。後ろ半分は重厚な鉄やチタン素材を用いた、ジェット機のようなパネル構造を備えた、ハイブリット構造になっています。

Richard_Noble

そして推進システムもハイブリットです。通常は戦闘機に搭載されるロールスロイス社EJ200ジェットエンジンが時速643kmまで押し出します。その後、Jaguar V8自己推進エンジンを酸化剤ポンプとして用いる、ノルウェーの企業Nammo社製のロケットモーターによって合計135,000馬力にまでパワーアップします。車両の速度測定に必要な距離を走破するまで、最高速では3.6秒必要と見積もられています。

このジェットエンジンとロケットエンジンを陸上機に搭載したという事こそ、Bloodhoundの最も大きな特徴でしょう。ですが、単に2つのタイプのエンジンを同時に搭載しただけではありません。開発チームはまた、短時間にロケットシステムに燃料を補給する方法も開発しなければいけませんでした。記録の申請には1時間以内に2回走らなければいけないのです。

FORCES-fullsize

Bloodhound開発チームの有力な3つのロケット技術者グループのうち1つに属する若きエンジニア、Edward Fletcher氏がその答えを解説してくれました。第一走の直後に換装できるような取り外し式ロケットモーターを使わないといけません。(Fletcher氏とチームメイトがこのロケットモーターをテストしている動画をご覧ください)

ロケットモーターは据え付け台から外して、車両の後方から取り出せます。コンセプト自体は至極シンプル。ですがFletcher氏は、開発チームの考案したこの方法は前例のないものであると自信たっぷりに言ってくれました。「いまだかつてこんな短時間に換装できたことはありませんよ。」

他にも、水酸基末端ポリブタジエン燃料を完全に燃焼させることも一役買っています。「まるでロウソクですよ。」Fletcherによると、燃焼させた後でも表面は比較的低温に保たれています。約80°Cほどにしかなりませんので、車両が停止してすぐに扱う事が出来ます。そしてBloodhoundの約1,000リットルの酸化剤タンクには過酸化水素と水が90:10の比で充填されています。

一走にかかる時間は約2分間。ロケットモーターの燃焼時間は30秒ほどです。来春、ジェットエンジンの最初の試験がイギリスの滑走路で予定されています。うまく行くことを願う次第です。

関連記事:

世界最速の自転車、時速137kmを突破!

小惑星から資源を採掘する「光学的採掘法」

スポンサーリンク