サナダムシを体内で飼うなんて気持ち悪いことですが、それでもそれでがんになるなんて心配はいりませんでした。アメリカ疾病対策センター(CDC)はこのたび、コロンビア人男性がサナダムシから癌を移されて死亡したと確認しました。いろいろ特殊な事情があるのですが、とても珍しい症例であることに変わりはありません。
A man has died of cancer contracted from his tapeworm
http://www.geek.com/science/a-man-has-died-of-cancer-contracted-from-his-tapeworm-1638807/
正体不明のがん細胞
この41歳のコロンビア人男性は発熱、せき、意図しない体重減少が数か月の間続いたため医師を受診しました。CT スキャンの結果、肺とリンパ節に腫瘍が認められました。不運な結果ですが、珍しい診断結果ではありません。ですが生体検査を行った際、医師は CDC に連絡を入れなくてはならない事態に直面しました。ヒトのものではない細胞が見つかったのです。がん細胞には違いないのですが、その大きさはヒトの細胞の10倍ほどでした。
正体はサナダムシ
この細胞の DNA を解析した結果、小型条虫と呼ばれるサナダムシの一種であることが判明しました。主にヒトに寄生するサナダムシで、ブタやウシに寄生するものよりもずっと小型の種です。今回の症例はとても珍しいケースです。サナダムシに寄生されていた上に、10年以上前に HIV にも感染していたのです。
免疫システム不全
医師の考えでは、HIV によって免疫システムが抑制されたことで、サナダムシが急速に成長し、がんを発症するまでになったらしいのです。免疫システムのがん抑制機能が抑制されたことで、本来なら排除されるはずのサナダムシのがん細胞が攻撃を免れ、その結果として身体の至るところに拡がってしまいました。
現在
サナダムシが原因だと判明した数日後、この患者は亡くなってしまいました。医師はこの患者同様に免疫システムに異常をきたしている患者に似たような事例があるのではないかとして調査中しています。