カーボンナノチューブが原子炉を変える
カーボンナノチューブは様々な用途に応用されていますが、この度MIT、 テキサスA&M大学、韓国、チリ、アルゼンチンの国際チームが、カーボンナノチューブの新たな使い方発見しました。
金属に添加物として加えることで原子炉反応容器の寿命を伸ばせるのです。
照射脆化
反応容器での故障原因一つに、反応容器を作るための金属、特に炉心のように高い放射線を浴びるところ、が脆くなること(照射脆化)があります。
高レベル放射線の存在下で、ヘリウムが金属に入り込み、金属粒子間に泡を作って金属の強度を下げてしまうのです。これによって金属は穴だらけで脆くなり、予期しない時に割れてしまう可能性が高くなるのです。
カーボンナノチューブ合金
研究者達によれば、カーボンナノチューブでこのような劣化を防ぐことができるだろうとのことです。
金属ナノチューブ合金の研究によれば、ナノチューブは金属の内で一次元のチャンネルを形作り、金属格子でヘリウムを捉える、これが金属劣化の原因になります、代わりにナノチューブチャンネルを通して逃がすのだろう、とのことでした。
「カーボンナノチューブが一様に分散して入っている金属は長期間わたって劣化することなく放射線によるダメージ軽減します。」とMITのポスドク研究員の蘇康杓氏(So KangPyo氏)は言っています。
研究によれば、このような効果は、ナノチューブがかなり僅か、アルミニウムの金属体積比で2%程度、でも見られるとのことです。
これらのナノチューブは70DPAまでの放射線ダメージに耐え、未未加工アルミサンプル比べて、脆性を1/5から1/10に減らす効果があるそうです。
「試験体に放射線による穴を探しましたが、見つかりませんでした。」とMITの李巨教授は言います。「機械的な測定データによれば、脆化はそれ以上に少なかったようです。」さらにナノチューブは金属を50%強化しますし、金属の靭性も向上します。
この研究ではアルミニウムが使われましたが、アルミニウムは原子炉システムにおいては比較的低温部分でしか使われていません。
研究チームはこの実験を、核反応システムの高温部分で広く使われているジルコニウムにも、拡げることを計画しています。
研究チームはこのようなナノチューブ効果は一般的なもので、ほとんどすべての金属カーボンナノチューブ複合素材で見られるのではないかと推測しているようです。
source MITnews