マイクロ波を使った身体を傷つけない血糖値測定法が開発
糖尿病の患者は、自分の血糖値の管理を日常的に行わなくてはいけません。
そのためには指に針を刺して、ごく少量の血液を採取しなければいけませんでしたが、当然痛みを伴います。
この状況を改善しようと、英国ウェールズにあるカーディフ大学の研究者たちが、血糖値を測定するための新しい方法を開発しました。
新しい方法では患者の身体を傷つける必要がなくなります(医学用語では、身体を傷つけない方法を「非侵襲的な方法」と言います)。
Heungjae Choi博士らの開発した測定デバイスは皮膚に張り付けて使用するもので、低レベルのマイクロ波を放射して血糖値を測定し、得られたデータをPCやモバイルアプリで確認するというものです。
使うマイクロ波の強さは携帯電話の1,000分の1
低レベルとは言え、マイクロ波を身体に照射するというアイデアに驚いた方も多いのではないでしょうか。
ですがご安心ください。同じくカーディフ大学大学院工学研究科のAdrian Porchによれば、言葉の印象ほど危険なものではないとのことです。
「マイクロ波を使うのは事実ですが、非常に弱いものですので、電子レンジのようなことにはなりません。むしろ携帯電話の電波の方が1,000倍強いくらいですよ」
糖尿病(特にI型)の患者にとって、毎回指に針を刺すよりも微弱なマイクロ波の方が良いかもしれません。
糖尿病の分類
糖尿病は、I型糖尿病とII型糖尿病の2種類に大きく分けられます。
I型糖尿病は、すい臓の中のインスリンを作っている細胞(ランゲルハンス島β細胞)が死滅してしまい、インスリンを作ることができなくなってしまった状態です。
インスリンは血液中の糖分を細胞内に取り込ませ、血糖値を下げる働きを持つ物質です。
インスリンが作られずに血糖値が高い状態が続くと、神経障害、網膜症、腎症といった合併症を引き起こしますので、I型糖尿病の患者は自分でインスリンを注射して血糖値を適正に保つ必要があるのです。
成人では、II型糖尿病の方が発生頻度としては高くなります。
すい臓でインスリンは作られてはいるものの、十分な量を作れていない時(インスリン分泌能低下)や、インスリンがあっても効きにくくなった時(インスリン感受性低下)などにII型糖尿病と診断されます。
II型は生活習慣が原因で発症することが多く、治療法としては減量や適度な運動、食生活の改善などが行われます。
I型と違って、インスリンの注射は必ずしも必要ではありません。
血糖値を測定する必要があるのは、主にI型糖尿病の場合です。
カーディフ大学の開発した新型デバイスもI型の患者が使用することを前提に開発されていますが、開発はまだ試験段階の初期にあり、実用化には今しばらくの時間がかかります。
目標としては今後5年以内に実用化し、全世界の糖尿病患者のもとに届けたいとしています。
Via: Geek.com