Google Cardboardで心臓の構造を探り、幼い命を救った医師たち

心臓や脳など、生命維持に直接関わる器官の手術では、小さなミスが大きな被害につながります。従来は高性能なVRセットで脳の構造を把握するということは行われていましたが、米国フロリダ州にある小児病院では、心臓奇形の構造を把握するためにスマートフォンとGoogle Cardboardが使われました。

Doctors use Google Cardboard to explore a heart, save a life

http://www.engadget.com/2015/12/29/google-cardboard-teegan-lexcen/

cardboard

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スマートフォンとCardboardで心臓の構造を再現

2015年の8月に米国ミネソタ州で生まれたTeegan Lexcenちゃんは、生まれつき重い障害を抱えていました。心臓が通常よりも小さく、心臓奇形を患っており、また左側の肺もありませんでした。医師からは、初めてのクリスマスを迎えるのも難しいと言われていました。そんなTeeganちゃんですが、治療のためにフロリダ州マイアミにあるNicklaus Children’s Hospitalで心臓切開手術を受け、今では元気に暮らしています。その手術の打ち合わせで、あるガジェットが用いられていました。Teeganちゃんの胸部の構造を把握するため、進取の気風を持った医師たちはスマートフォンとGoogle Cardboard VRヘッドセットを使い、見事にTeeganちゃんの命を救ったのです。

MRIの2次元画像から3次元画像を構築

難しい手術に臨むというのは、成人の患者が対象の時ですら医師にとっても負担の大きいものです。ましてやTeeganちゃんの場合、乳児というより高いハードルがありました。手術を成功させるには心臓がどのような異常を示しているのかを正確に把握しておく必要がありましたが、2次元MRIでは断片的な情報しか得られません。どうすればいいのかと病院スタッフが頭を悩ませていた時、MRI部門を率いるJuan-Carlos Muniz医師は、MRIで得られた2次元画像を3次元画像に変換するということを行いました。2次元画像をiPhoneに入れ、Google Cardboard内で重ね合わせて心臓外科医であるRedmond Burke医師に見せました。Burke医師の言葉を借りると、「まるで手術室にいるようだった」そうです。初めてこの3次元画像を見たとき、すでに手術は2週間後に迫っていました。

VRを安価で医療に導入可能に 導入する病院が増えることに期待

この画像のおかげでTeeganちゃんの心臓を把握したBurke医師は、手術の第一手の最適解を導き出しました。そして手術開始から7時間、Teeganちゃんの手術は成功し、VRヘッドセットの新たな可能性を示しました。現在医療現場で用いられるVRは、主に脳の深部の構造を把握するのに用いられています。そのためにはOculus RiftなどのハイグレードなVRセットアップを使うのですが、Teeganちゃんのケースで、安価なヘッドセットでも実用に耐えるということが証明されました。物事を少し違った角度から見てみたいという意志さえあれば、そこに道は開かれるということでしょう。

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