毒の霧!カリフォルニア州の霧から水俣病の原因物質メチル水銀が検出される

霧とは船の視界を奪うので、航海において非常に危険なものとされています。しかしどうやら、カリフォルニアの霧は食物連鎖にも悪影響を及ぼすようです。

MERCURY FOUND IN FOG OFF CALIFORNIA COAST

http://www.popsci.com/mercury-observed-in-coastal-fog-off-california

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カリフォルニアの霧に水俣病の原因物質と同じものが含まれていることが判明

米国地球物理学連合の秋季学会で、参加した科学者たちはカリフォルニアで霧の発生する頻度が上昇しているという事案に加え、発生した霧にはモノメチル水銀という物質が含まれているという議題について話し合いました。モノメチル水銀は、かつて日本で水俣病と呼ばれた公害の原因ともなった有害物質で、霧に含まれているのを捨て置けるわけはありません。

霧が海上で発生するパターンとしては、夏に暖かい空気が冷たい海水面の上に移動した場合が良く知られています。サンディエゴ州立大学のClive Dorman博士によると、1960年から2007までのオレゴン~北カリフォルニア海域のデータを参照すると、霧の出た日数は7.4%ほど増加しているのだそうです。また、ニューファンドランド島沖にあるグランドバンクのような、世界中の霧の頻出地帯でも霧の日が増加していることを示しました。

わずかな汚染物質が積み重なって毒性を示す「生物濃縮」

そしてこの霧の悪影響は船の進路を妨害するにとどまりません。Moss Landing Marine Laboratories のKenneth Coale博士や他の研究者らによると、カリフォルニアの霧には大量のモノメチル水銀が含まれていたのです。重工業を中心とした工場排水から、水銀は海に流れ込みます。そして海に住むプランクトンや、それを食べる魚類の体内に蓄積していきます。そしてその魚を飼料とする家畜を経由したり、あるいは直接人体にモノメチル水銀が取り込まれたりしていきます。モノメチル水銀は生物体内から排出されにくいという特徴を持っており、プランクトン→魚→家畜→人体と後ろの方になるほど体内濃度は高くなります。この現象を生物濃縮と言います。

以上濃度のモノメチル水銀の原因は「霧」という現象にあった

これほどまでのモノメチル水銀はどこから来たのか。工場排水だけにしては多すぎる。そう疑念を抱いた研究者らの調査により、新たな発生源が突き止められました。とてもよく似た物質であるジメチル水銀が化学変化を起こしてモノメチル水銀になったというのです。このジメチル水銀も、工場排水や採掘作業場からの排水に含まれています。

海の中にはモノメチル水銀、ジメチル水銀ともに存在しています。これらを含んだ海水が霧になり、霧の持つごくわずかな酸性がジメチル水銀をモノメチル水銀に変化させるのです。

即時的な影響はないが、今後の長期的な政策は必要

幸いにも、霧の中のモノメチル水銀の量は今すぐ健康被害が出るようなものではないとのことです。ですがこれが続けば、それだけそこに暮らす人々の体内に水銀が蓄積されていくことになりますので、安心はできません。

「このあたりで採れる蜘蛛は食べないようにしますよ」。と先ほどのCoale博士はアメリカンジョークを飛ばしていました。調査では蜘蛛の水銀レベルも検証しており、FDAの定める限界量を超える水銀が蓄積していたのです。

人間は通常、蜘蛛を食べません。しかし鳥は蜘蛛を食べます。Coale博士は今後も霧による影響を調査していくとしており、ドローンを使った調査も計画中とのことです。

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