アメリカの医学委員会が「3人親の胚」の臨床試験の認可を訴え

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3人親の胚「3-parent embryos」

水曜日、米国ナショナルアカデミー・オブ・メディスン(NAM)はアメリカ食品医薬品局に対し、いわゆる「3人親の胚(3-parent embryos)」の臨床試験を認可すべきと通達しました。これはミトコンドリアに先天的な遺伝子疾患を持つ卵細胞から核を取り出し、正常な卵細胞へ移植してから精子と体外受精させるというものです。

ミトコンドリアDNAとは

ミトコンドリアは細胞内で使われるエネルギーのほとんどを生産しています。通常DNAというと核の中にあるものと思われがちですが、実はミトコンドリアの中にも核とは別のDNAが存在していて、核内のDNAを「核DNA」、ミトコンドリア内のDNAを「ミトコンドリアDNA」と呼びます。核DNAのサイズは約31億塩基対なのに対し、ミトコンドリアDNAはわずか16,000塩基対と、大体20万分の1ほどの大きさしかありません。それゆえ、一度ミトコンドリアDNAに変異が起こると、片頭痛といった症状から肺や心臓の先天的異常などの核DNAの時よりも重篤な疾患を抱えることが多いのです

科学的にも社会的にも問題は山積み

科学者たちは「ミトコンドリアのDNAが傷ついたのが原因ならば、傷ついていないミトコンドリアと入れ替えればよいのではないか」という仮説を立てて医療に役立てようと考えました。ですがこの新しい発想の治療法は安全性試験などのデータも不十分であり、安全面や技術面、そして「3人親の胚」治療でもたらされる社会的、心理学的、政治的な影響に関する懸念材料が山積しています。

まずは次世代への影響の少ない男性の胚から

ですがNAMはそういたリスクを考慮しても得られるメリットが勝るとしており、少なくとも真剣に検討するだけの価値はあるとしています。NAMによれば、この技術は男性の胚にのみ適用されるとしています。次世代へ遺伝するミトコンドリアDNAは母親由来の物のみですので、男性の胚に外部からミトコンドリアDNAを入れても子供には受け継がれないのです。また、この治療を受けた人を年単位で追跡調査し、得られたデータを関連機関で共有すべきとも提案しています。NAMは次世代へ受け継がれる可能性を考慮し、女性の胚への適用は男性の胚で安全性が確かめられてからにすべきとしていますが、これ昨年UKの議会を通過した「ミトコンドリア置換技術を両性の胚に適用可能とする」という法案と対照的になっています。

Via: Engadget

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