Kickstarterで反物質エンジンを作る!?

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反物質エンジン

スター・トレックの世界で連邦の宇宙船に搭載されている反物質エンジンは、艦隊の活動を支える重要な要素になっています。

理論上、これらのエンジンは、宇宙船に搭載されている反物質との対消滅を制御し、時間でさえも乗り越えるする機能を持っていることになっています。

この反物質はSFの産物ですが、今週、二人の有名な物理学者が反物質についての研究を次の段階に進めるために、クラウドファンディングの有名サイト、Kickstarterで資金を集めるとアナウンスしました。現実の話です。

反物質エンジンで深宇宙へ

二人の物理学者、 Gerald JacksonとSteven Howeは、過去13年間にわたって、反物質推進システムのアイデアをNASAなどに売り込もうとしてきていた筋金入りの人物です。

この二人は、以前2003年に、反物質で駆動する宇宙船の概念的なアイデアを発表し、それを使った深宇宙探査の初期ビジョンを提示しました。

それ以来、JacksonとHoweは20年に渉ってアイデアを温めてきました。人類が深宇宙に進出しようというなら、軽量かつ安価な方法が必要になります。

二人は、その目的のためには反物質の生成と反物質推進こそが必要になる技術だと主張しています。
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反物質とは

ところで反物質とはどのような代物でしょう?その名前が示すように、それは普通の物質の反対のものです。通常の物質は正の電荷を持った原子核と負の電荷を持った電子から成る原子から構成されています。 これに対して反物質の原子は負の電荷を持った核と正の電荷を持った電子から構成されています。

反物質の原子が通常の原子と衝突すると、原子は両方とも消滅して膨大なエネルギーが放出されます。物理学者達は、いつの日かこのエネルギーをコントロールして宇宙船の推進力として使いたいと思っているわけです。

JacksonとHoweの二人はプレゼンテーションで、小さな探査機で反物質推進を使えば、地球からアルファケンタウリまで40年で到達でき、更にそれに必要な反物質は僅か17グラム、そして探査機は光速の1/10の速さで航行することになると示しました。

ただ、どうすれば反物質を生産、供給できるかという誰もが見て見ぬ振りをする大問題が残っています。

反物質の生産

実際、反物質を作り出すのは不可能ではありません。フェルミ研究所やCERNの衝突型加速器で作り出すことはできます。

しかし作り出されたのはほんの微量だけです。Symmetry Magazine によれば、今までに生成された反物質全部を一斉に対消滅させても、カップ一杯のお湯を沸かすこともできないだろう、とのことです。深宇宙に行けるような量ではありません。

それに加えて、反物質の生産には物凄いコストが掛かってきます。1グラムの反物質を作るには、金額でざっと1000兆ドル、電力でざっと2.5京キロワット時、が必要になると言われています。反物質は決してお安くはないのです。

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Kickstarterキャンペーン

Kickstarterキャンペーンを始めるにあたって、JacksonとHoweが設立した会社、Hbar Technologyは、今後の彼ら研究と開発を進めるために20万ドルを集めることを望んでいます。

うまく行ってこれが集まれば二人は、反物質推進システムがどれぐらい推力を作り出すことができるかを測定する機械を制作することができるようになる、と言っています。なお、二人共、実際の反物質推進装置を作るとなると桁違いの資金、ざっと10億ドル、が必要になるだろうと認めています。

更なるハードル

なお、二人の物理学者の理論通りの反物質推進装置が動くようになったとしても、反物質エンジンが陽の目を浴びるには更に大きな問題が控えています。
まずは反物質をどうやって保存するのか、という大問題があります。
反物質は極めて不安定な物質で、格納容器に触れることも許されません。フェルミ研の物理学者James Annisによれば、それは「恐ろしく難しいこと」だそうです。もし反物質が格納容器と接触したりすると、核爆弾に匹敵する大爆発が起きてしまいます。

反動推進宇宙船

JacksonとHoweがどうにかして反物質を製造する方法を見つけ出し、それなりの金額で反物質エンジンを製造し、さらに反物質を安全に保存する方法を見つけ出したとしましょう。最終的なデザインはどんなものになるのでしょう。
彼らのプレゼンテーションを見てみましょう。宇宙船に搭載された反応炉を反物質で駆動すると、反応時にウラニウムの崩壊生成物が生成されます。崩壊生成物の半分は「前方」に放出され、宇宙船の「セイル(帆)」にあたって、セイルが宇宙船を前に引っ張っていきます。残り半分の崩壊生成物は「後方」に放出され、宇宙船の「推進力」になります。資金集めがうまくいき、二人のシステムが実を結べば、宇宙船の速度が20~30年で高速の40%に達するものとJacksonは見ています。

今のところ二人はKickStarterにプロジェクトの企画を出したところですが、計画では来月にでもキャンペーンが公式に始められることになっています。
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